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最勝寺 朋子

-Tomoko Saishoji-

近所の川に大量のプラスチックごみが運ばれてきて


 私たちは、おだわら市民学校専門課程「自然を守り育てる」の卒業生で結成したチームです。2019年に発生した台風19号の増水によって、近所の酒匂川の土手や河原に流されてきた大量のペットボトルや発泡スチロールをどうにかしたいと同じ講座の受講生に話したことがきっかけとなりました。現在、地球温暖化など気候変動の影響で自然災害の規模が拡大しています。また似たような大型台風が来るかもしれない、そういったときに一般市民の皆さんを巻き込んで動くには、チームを作って活動を継続しておく方がいいと受講生の仲間に提案され、チームを組むことになりました。



 市民学校を受講していたころは、まさか自分がボランティアチームを運営するとは思っていませんでした。私はただ、現代に生きる一人の人間として、プラスチックごみが海の生態系を汚染し将来的に有害物質が人の体に入ってしまうということへの罪悪感からごみを拾い始めたのですが、チームの活動を通して、私と同じように自然環境を大切に思っている人が大勢いると分かり、故郷の未来に少し希望が持てました。チームのみんなや市民の方々が前向きに楽しんで活動に参加してくださることが、今は自分の原動力になっています。

開発で失われた原風景


 小田原は風光明媚だといわれていますが、私は子どもの頃から、その原風景がどんどん開発され失われていくのを目の当たりにしてきました。家族や友達といろんな生き物に出会った田んぼのあぜ道や水路、草むらが、目の前でコンクリートに埋められて、施設や道路、住宅に変わっていきました。土地をどう使うかは所有者の方の自由ですし、まちの発展や防災にとって必要なのだと今なら頭で理解ができますが、子どもの頃の私は「この間見た魚や虫はちゃんと逃げられたのかな。草花は生き埋めにされちゃったのかな」とばかり考えて、心に穴をあけられたように悲しくなりました。
 それから環境問題に興味を持ち、大学では地域環境学科で人と自然の関わりについて学び、現在は自然環境や生き物のことを絵本で描く仕事をしています。ふるさとの風景は、自分の原点です。

多くのことを教えてもらいながら


 私たちのチームは、酒匂川の河口右岸などでのごみ拾いを通して、海洋プラスチック汚染の問題と向き合うことをコンセプトとしていますが、小田原には以前から、海浜植物の保護や海岸の景観保全、まちの治安や衛生管理など、それぞれの目的で長年ごみ拾い活動を続けている方々がいらっしゃいます。そういった先輩方にアドバイスをもらったり、情報を教えてもらったりして、私は活動を始めました。
 また、おだわら環境志民ネットワークでは、様々な分野で環境活動を行う先輩方から、チームやイベントの運営などを含め、多くのことを教えてもらっています。
 ひとつの環境問題を解決したいとき、その対象のことばかり見ていては、他のところで逆に環境を破壊してしまうことに繋がりかねません。例えば、ただ「ゴミを拾う」という目的しか見えていないと、その場所でしか生きられない生き物の住処を脅かしてしまったりすることもあるかもしれませんよね。そういう自分たちだけでは気づけない点も、環境という繋がりでカバーしあえるのがネットワークの良いところだと思います。

ごみを拾いながら、ごみを減らす方法を考えたい


 プラごみゼロ チームおだわらを作るきっかけにもなった台風の災害ごみは、取り切れないまま草に埋もれてしまい、今も身近な川辺に堆積しているという現実があります。また、酒匂川の河口には、頻繁に大量のごみが流されて集まってきます。どうしてプラスックごみが集まってくるのか、そのメカニズムはまだ分からない部分が多いですが、今後もみなさんと河口などでごみ拾いを続けながら、どうしたら川や海へプラスチックごみが放出されなくなるのか、一緒に考えていきたいです。