林 真由美
- Mayumi Hayashi -
人物近影
人物紹介
おだわられもんラボとは
2015年に私の父が始めた団体です。父は以前、JAかながわ西湘片浦レモン部会に所属していましたが、退会後も引き続きレモンに関わっていたいという思いがあり、私と2人で活動をスタートさせました。主な活動は、委託によりレモン果汁を搾って瓶詰めにすることや、搾った後の皮の黄色い部分を削り取って、水蒸気蒸留でエッセンシャルオイルにするというものです。2021年4月に父からバトンを受け継ぎ、農薬の使用を最低限にした小田原産レモンの認知度を高め、その良さを皆さんにわかっていただけるように活動しています。
片浦れもんの魅力
レモンと聞くと日本で有名なのは、瀬戸内や広島のレモンですよね。向こうは一大産地であり、価格面や知名度もあって遥かにブランド力が強く、美味しいレモンです。一方、小田原産レモンにおいて、まず違うのは気候です。小田原は日本のレモン生産地の中でも北限に近く、野外でレモンを育てる際に冬の寒さで実が落ちてしまうことが多いようです。片浦地区では冬が温暖で海風も吹くため凍りにくいようですが、寒いことには違いありません。次に、小田原産レモンには、皮が非常に分厚く、果汁を取れる部分が少ないという特徴があります。未だわかっていない小田原産レモンの魅力も沢山あるはずですので、解明できるよう努力してゆきます。
余すところなく使えるレモンを目指して
レモンの皮を蒸留し商品化する段階で、エッセンシャルオイルに使われる黄色い部分のみ成分分析をしました。皮下成分などについてはしていませんので憶測の域を出ませんが、小田原産レモンの分厚い皮は、冬の寒さに耐えるためにあるのではと思っています。広島などのレモン皮の白い部分は、小田原産より極端に薄くなっています。生産が盛んなこともあり、広島の大学などではレモンの研究も多いのですが、皮と実の間の白い部分については、ほとんど文献がありません。ほかにも色々調べてみてはいますが、この部分については現在有効活用の方法が見つからず、廃棄してしまっています。なにか利用方法を見つけ最終的には余すことなくレモンを使うことができるようになればと願い、調査研究も引き続き行ってゆきたいと思います。
片浦レモンと自然環境
片浦レモンは、国産で無農薬・低農薬のレモンをつくろうとしたのが始まりでした。環境にやさしく、安心安全なレモンを食卓にというキッカケで研究がすすみ、ブランド化したものです。おだわら環境志民ネットワークに私たちが参加しているのも、小田原産レモンと環境問題は密接であり、レモンの消費を通して経済が循環し、できるだけ無駄のない未来を実現できるようにと考えているからです。
おだわら環境志民ネットワークでは、他の会員さんと気軽に交流でき、またその中で協力体制が築けるのが何よりの喜びです。私たちにとって、商品を置かせてもらえるお店の存在や、小田原産レモンを知ってもらうためのワークショップなどが開催できるスペースをお借りできるのは、とてもありがたいことと思っています。
経験や体験を出会いの場にして
れもんラボという名称ですが、今後はレモンに限らず他の柑橘や、薄荷(ハッカ)などのハーブを使ったエッセンシャルオイル作りにも挑戦したいと思っています。現在はアロマを使ったワークショップがメインですが、もし興味のある方がいらっしゃれば、水蒸気蒸留のワークショップなどを開催することも考えています。小田原の土地で育った自然の恵みを使い、日常ではなかなかできない体験をしていただくことで、関わりの輪を広げることができれば、それがまた新たな発見や出会いのキッカケにつながれば、とても素敵だと思います。