近藤 増男
-Masuo Kondo-
人物近影
人物紹介
間伐材を山の問題の応援に
近年では、なるべく木材も地元の木を使おう、地産地消しようという動きが増えてきています。東日本大震災の際に東北地方を応援するとなったときくらいから、私たちは間伐材に注目しました。曲がっていたり、虫食いだったりして市場では持ってくるなと言われてしまうくらい需要が少ない間伐材ですが、そういった一部の品質が悪いからと言って全体まで粗悪とするのはもったいない。見栄えの問題は残るものの、製材の仕方次第で建築用途でも構造上の問題にはなりにくいのです。
人は自然のあるところに集う
そうした間伐材を使ったモデル事業として、市内の小学校PTAと協力しながら、学校のトイレや図書室などの内装に木材を取り入れるということを実施しました。そうすると子供たちは、休み時間になると教室から遠いのに、わざわざそのトイレを使いに来たり、冬場など寒い時期は図書室に足を運ぶ生徒が増えるといった現象が起きました。驚きながらも、これを機に続々と小学校の改修が始まっています。また同時に市内の様々なところで施設整備を進める工事業者へ、小田原の木々をなるべく使うような方向で持っていけるように掛け合い、最終的にちゃんと取り入れられたかまでフォローしています。
何を具体的に察知して、どう伝達するか
「大切にしよう」・「絶滅の問題から救おう」など言葉では言っていても、そこに具体性が無いと突破口を開くことは出来ません。例えば、「自然を大切にしたい」と思ったならば、自然の中で子供たちが遊べる空間を作ってみる。そうすると一緒に来た保護者が、子育てにいい環境だと感じて、その空間を失わないようにみんなで保全しようと行動してくれる。そうやって動きが出来てくると、実際に何が問題点や課題となっているかがわかってくる。山の中は危険だから入ってはいけないと言うだけではなく、なぜそれがダメなのかを説明できる必要があります。川に入ってはダメ、釣りをしてはダメなどの危険信号を出すだけではなく、むしろ川に入れる場所や釣りが出来る場所を作って、マナーや危険個所を教えることをする。そうやって安全かつ楽しい自然環境が増えれば、もっとそこに遊びを増やそう、魚を育てようなど、どんどん活動が広がり伸びていきます。
精・学・楽・遊・援の5原則
東京農業大学の進士五十八教授の言葉に「農業と都市住民を結びつける5原則」というものがあります。まず1つ目には、活動を「精一杯、一生懸命に行うこと」そして、その為に「必要な事をしっかり学ぶこと」だけど、勉強だけは退屈になりがちなので「楽しくなる工夫をすること」そうやって活動していって「活動が遊びのようになること」またすべてにおいて仲間あるいは他団体など周囲の人たちと連携を図り「お互いに援助しあうこと」この原則は農業に限らず環境活動をはじめ様々なことにも共通して言えます。1つでも多く意識して取り入れていくことで人の輪が広がり、活動の幅も大きくなっていくと考えています。
おだわら環境志民ネットワークは、山の問題だとかゴミの問題だとか、いろいろな問題を抱えながら活動しているそれぞれが、みんな絡んでいったら生まれたグループです。仲間を集めて、苦労しながら活動をしている根底には「この地域を悪くしたくない」という想いがあります。環境活動をしているとストレスに感じる時もありますが、そういった時こそ一息おいて、仲間たちと楽しく会話をしながら工夫を重ねていきたいと思います。