Loading...

田中 大介

-Daisuke Tanaka-

環境負荷低減のための目標設定


 弊社のミッションとして「日本の使い捨てプラスチックボトルを2030年までに30億本減らす」というのを1つの課題として会社を挙げて取り組んでいます。また、ビジョンとして「誰もがマイボトルを持ち歩く文化を作る」ことを目指しています。そういった理念を軸に、環境問題やプラスチック問題に取り組んでいきたいと考えています。
 現在、小田原市と協定を結び、市役所をはじめとする各公共施設に水道直結ウォーターサーバー“ウォータースタンド”を誰もが無料で使える「給水スタンド」として設置させていただいています。


エコロジーを「文化」に昇華させる


 私たちが使い捨てプラボトルを減らそう、マイボトルを普及させよう、という風に取り組むだけでは、まだまだ足らないので、他の企業、地方自治体、そして教育機関、いわゆる産学官民の連携をもってして初めて解決に向けた道筋を見出すことが出来ると思っています。
 個々で行う環境活動はもちろん大切ですが、問題解決に向けた早急なアクションの為には、まとまりが必要だと思います。エコな行動は当たり前。1つ1つの行動が生活に溶け込んでいる「文化」にすることが必要だと私たちウォータースタンド株式会社は捉えています。そこまで押し上げていかないとまずいほどに、現代におけるプラスチック問題は非常に深刻かつ、物凄いスピードで悪化しているのです。

ふと気が付くと、違った風景になっている


 「給水スタンド」に汲んだ水の量が量れる流量計を取付ることで利用量を把握します。その水量をペットボトル何本分かに換算することで、見える化をしています。そういった数値で削減効果を実感することが出来るのですが、それよりもまず、「給水スタンド」を設置しているフロアやオフィスで、マイコップやマイボトルを使う人が目に見えて増加していくという声が多く寄せられています。
 自動販売機で何時でも気軽に購入出来て、簡単に捨てられるペットボトルはとても便利です。反面、マイボトルは中身がなくなったとしても常に持ち歩かなければいけない。マイボトルを持っていない人はボトルを購入するところから始めなければならない。言ってしまえばそれを負担に思ったり、面倒だと思ったりする人もいるでしょう。しかし、そう思ってしまっては環境問題へは取り組めません。
 実は環境問題に取り組んでいるのに、当たり前で、その認識が薄いかもしれないものの1つに、ゴミの分別があります。燃えるゴミ、燃えないゴミ、プラスチックゴミ、などなど、皆さんは普段、家庭や会社で分別していますよね。しかしその昔、ゴミは分別しないで捨てていました。でも徐々に環境に良くないから「ゴミは分別しましょう」となっていきました。当初はほとんどの人が面倒だと思ったはずです。でも今は当たり前のように分別しています。「ゴミを分別すること」が1つの「文化」になったということではないでしょうか。マイボトルもこれと同じで、マイボトルを持つ意義と世の中に与える影響がハッキリすれば、マイボトルを持ち歩く人が増え、1つの「文化」になるのではと思っています。

次の世代に向けて「伝える」ということ


 このまま海洋プラスチック問題が進めば、2050年には海の中のプラスチックゴミが魚の量を上回るという研究結果が発表されています。(The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics「エレン・マッカーサー財団2016年」)。そんなゴミだらけの海でいいのだろうか、そんな自然環境を子や孫の世代に残したくはない、というのが弊社のミッション策定の背景です。そこから企業の利益だけでなく環境を考えるようにシフトしています。普段ニュースなどで流れてきたり、どこか他人事のようだったりする環境問題ですが、私自身、小田原市の方々と交流を持つようになってから様々な現場で、この問題に直面しています。漁師さんが網を引けば魚と一緒にビニールやペットボトルが掛かっていますし、森など山の木々にしても勝手に生えているわけではなく、きちんと人の手を入れておかないと川のきれいさにも繋がらないし維持も出来ないという事を学ばせていただいています。
 おだわら環境志民ネットワークで会員の皆さまとお話しさせていただけたことによって、これまでは「このままではゴミが増える、なのでマイボトルにしましょう。」という問題の始まりと終わりに目が行きがちだったところが変わりました。特に子どもたちの「なんで?」に対しては言葉はもちろん、体験という形で身をもって知ってもらう取組を会員の皆さまはされています。自然の中で遊んだり暮らしたりすることは楽しいけれど、それを続けていくにはどういったことをしないといけないのかなどを、視覚的・触覚的に伝えられている姿勢はとても新鮮です。弊社も小学校などに伺って、オリジナルのマイボトルを作るワークショップを盛り込んだ環境学習などを企画しています。その際には、ただ言葉で説明するだけでなく、子どもの五感に染み込むような伝え方が出来るようにしていきたいと思います。